基金設け生活資金独自貸し付け 松本市が方針 (2009年6月11日 信毎)

 松本市は、生活保護の申請をしたものの、支給まで手持ちの資金がない人を対象に、定額給付金支給に合わせて募った寄付金で基金を設け、生活資金を貸し付ける独自の制度を始める。10日の市議会一般質問で方針を明らかにした。県地域福祉課は「県内市町村で同様の例は聞いたことがない」としている。

 市障害・生活支援課によると、生活保護を申請してから受給開始までには、申請者の財産の調査などで通常20日前後かかるという。独自の貸付制度は、その間の生活に困る人が対象。生活保護は申請日にさかのぼって支給されるため、市は支給開始後に貸付額を返済してもらう。

 市は4月、定額給付金を自らは使わない人の「受け皿」となることも想定し、市民からの寄付窓口を開設。給付金の枠にとどまらず募集を続け、現在106件、153万円余が寄せられている。9月市議会に基金創設の条例案を提出し、10月から貸し付けを始めたい考え。

 生活保護申請から受給までの間は、県社会福祉協議会の緊急小口資金制度(上限10万円)も利用可能だが、手続きに数日かかり、可能な場合に限り保証人も必要。市は貸し付けまでの時間をできるだけ短くし、保証人は不要とする方針。大日向栄一・健康福祉部長は「(貸付金が返済されるため)将来にわたって寄付者の気持ちを生かすことができる」と述べた。南山国彦議員(共産党・しがの風)の質問に答えた。

http://www.shinmai.co.jp/news/20090611/KT090610ATI090008000022.htm