低所得者の生活福祉資金、保証人なしで 国が要件緩和へ

 経済状況が悪化するなか失業者らが生活に行き詰まるのを防ぐため、厚生労働省は、低所得者に生活費を貸し付ける生活福祉資金貸付制度の利用要件を大幅に緩和することを決めた。連帯保証人がいなくても借りられるようにし、金利を引き下げ、理由や用途を限定しない「総合支援資金」(仮称)を新設して、雇用保険生活保護をつなぐ安全網づくりをめざす。8月にも制度の要綱を改正し、10月から実施する予定。

 現在の制度では原則として連帯保証人がいないと利用できないが、総合支援資金は保証人を確保できない人でも利用できるようにする。原則3%の金利も半分の1.5%に軽減し、保証人がある人は無利子とする。これまでは保証人がみつからなかったり、返済のめどがたたなかったりして借りられないケースが指摘されていた。

 貸し付けによって就労などが見込まれる低所得者が対象で、貸し付けの理由や用途は限定されない。生活支援費として月最大20万円(2人以上世帯)を最長1年間貸し付けることが柱で、このほか敷金や礼金、就職活動や滞納金整理のための一時金も融資。実施主体の各都道府県社会福祉協議会社協)が就労や生活設計をサポートする。

 現行制度では、利用目的や対象によって「更生」「福祉」「療養・介護等」など10分類しているが、10月から四つに簡素化。総合支援資金をこのうちの一つと位置づける。

 制度の利用は減る傾向にあり、07年度の貸し付け決定金額は4年前の約6割の118億円(約1万1200件)に減った。失業や減収などで生活が苦しくなった人にとって利用しにくく、消費者金融などによる多重債務者を生む一因にもなっているとして、日本弁護士連合会などが制度の拡充を求めていた。

 09年度補正予算に貸し付け原資など702億円を計上。厚労省地域福祉課は「厳しい経済状況にあるにもかかわらず十分に利用されていないという指摘があり、失業者や低所得者の就業や自立を効果的に支援できるよう見直す」としている。(永田豊隆)

http://www.asahi.com/politics/update/0722/OSK200907220135.html
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090721AT3S1701Y19072009.html